明治の初め、文明開化とともに日本にはさまざまな文化や技術が海外からやって来ました。紅茶もそのひとつでした。緑茶と同じ科に属する茶葉なら、日本でも紅茶栽培できるに違いない。そう考えた明治政府は、世界の紅茶栽培の特産地が熱帯から亜熱帯の高温多湿地域に集中していることを知り、とくに沖縄の気候風土に注目したのです。こうして今から100年以上も前に、日本の紅茶の歴史は沖縄にも足跡を残すことになりました。しかし紅茶栽培を試みた他の生産地と同じように、思うような成果を上げることができず、いつしか沖縄の紅茶も人々の記憶の中に埋もれ、ひっそりと新しい時代の到来を待つことになります。そしていま、この沖縄の紅茶の歴史に光をあて、沖縄の紅茶を世界の紅茶に!という新しい夢の扉が開かれようとしています。    
  北緯26度の太陽      
  えっ、沖縄に紅茶の生産地がある? と驚かれる方は少なくありません。しかし世界の紅茶生産地の分布図を広げれば、沖縄もまたその最適地であることがひと目で分かることでしょう。北緯26度の沖縄は、日本国内で唯一その条件を満たしている場所なのです。熱帯から亜熱帯の高温多湿地域に集中的に分布する世界の紅茶産地。代表的な紅茶品種のアッサム種は北緯30度以北では良質の紅茶の栽培は困難だといわれています。その理由は紅茶の風味の決め手となるタンニンを十分に生成させるには、強い太陽の紫外線を必要とするからです。北緯26度の沖縄には、その太陽があるのです。    
 
奇跡の赤土
 
良質の紅茶の茶葉を育てるための大切な条件がもう一つあります。それは世界有数の紅茶栽培地・スリランカの写真をみるとすぐに気づくことですが、一面に広がる赤土の土壌です。赤土の土壌は肥沃ではありません。一般的に作物を栽培しにくい強酸性の土壌です。しかし紅茶の木はそうした条件でも育ちます。むしろ「土地が痩せているため成長が遅くなり、紫外線を長期間にわたり浴び続けた茶葉は、タンニンをたっぷり生成し良質の茶葉になるのでは」とも考えられているのです。その赤土が沖縄に奇跡的にあったのです。沖縄本島の中北部一帯は赤土の土壌。作物が育ちにくく見捨てられた耕作地が随所に残っています。そうした耕作地が、いま紅茶の栽培地として次々に甦りつつあります。
 
まぼろしの茶葉
 
かつて沖縄で栽培されていたアッサム種の茶木は、地元の人々にもほとんど知られることなく、わずかに畑の片隅で、しかし、しっかりと根を下ろしていたのです。その茶木の姿を見たとき、沖縄で日本を代表する紅茶をつくりたいという私たちの思いは、「きっとできる」という確信に変わりました。そして出会ったのが鹿児島県内(旧国立茶葉試験場※)に残されていた「べにほまれ」です。明治時代に国の機関で品種改良され、唯一、海外での受賞歴をもつ国内産品種「べにほまれ」。北緯30度以北では良質の紅茶栽培は困難という現実を前に、いつしかほとんど姿を消してしまったまぼろしの「べにほまれ」。世界に通用するその品質を甦らせ、世界の紅茶と肩を並べるトップブランドに。そんな夢を沖縄ティーファクトリーの「琉球紅茶」は育んでいるのです。
 
紅茶づくりの技
 
紅茶栽培に理想的ともいえる条件を備えた沖縄。しかしそれだけで世界に通用する紅茶がつくれるわけではありません。緑茶と違い、発酵させて風味を出す紅茶生産には、手摘み方法、手揉みの技、乾燥の仕方だけでなく、発酵に関する幅広い知識など、加工工程のすべてに高い技術とデリケートなノウハウが求められます。茶葉の生育の善し悪しを見極める力、正確にテイスティングできる感覚など、教科書にはない伝統的な知恵や勘も必要となるのです。私たち沖縄ティーファクトリーには「こんなに紅茶がおいしいなんて!」と驚いていただける本格的な紅茶づくりの製法を受け継いだ技術があります。だからこそ私たちは、紅茶で新しい夢を語ることができるのです。
  緑茶の木と紅茶の木は、どこが違うの?  
 
 
 
 
 
 
 
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